基礎控除内で贈与すればいいのではという疑問!贈与の対象になる財産とは

家族間で金銭的な援助をしても、時にその援助が贈与と見なされることがあります。「うちの父親と母親ももう年だし、毎月仕送りをするか」と息子や娘が頑張っても、その資金さえ贈与と見なされることがあるのですから大変です。

基本的に世間一般で妥当と思われる程度の額の生活費は贈与税の課税対象外となるのですが、「もっと額を奮発しよう」「医者にかかるにもお金が必要でしょう」と子供たちが一生懸命になればなるほど、税務署のお咎めがあるかもしれないというリスクも考えておかなければいけません。そう、「人にもの(財産)をあげること」すなわち「贈与」はとっても怖いものなのです。

相続対策として生前贈与を検討しても、贈与の知識がなければかえって相続税よりも税率の高い贈与税が課税されて大泣きする羽目になります。相続を考える上で、贈与を知っておくことはとても重要なことなのです。

今回は伊東家のワンシーンから、贈与についてさらに深く考えてみましょう。「贈与税の課税対象はお金だけ」なんて考えていませんか?実は意外なものも贈与税の対象になる財産なのです。相続と生前贈与の基礎知識として、「贈与税の対象になる財産とは何なのか」を知っておきましょう。

⇒前回のお話、生前贈与という方法を考える!相続対策と税金の関係

基礎控除を上手に使いたい!おばあちゃんのひらめき

 

祖母
「私、いいことを思いついたわ!」

 

おばあちゃんが唐突に声を上げたのは、おじいちゃんと息子の三人で温泉饅頭を食べていた時です。観光地の名物である温泉饅頭はとても美味しく、同じものをもう一人の息子(おじさん)のお土産として購入してきて大正解であったと話していました。

直前まで生前贈与と贈与税の話をしていたのですが、お饅頭の美味しさの前に、もはや贈与税の話など、おじいちゃんの頭にも、息子の頭にもありません。おじいちゃんと息子が全国のどんな地域のどんなお土産が美味しかったかを話していると、会話を遮るようにおばあちゃんの一声があったのでした。

祖母
「贈与税の基礎控除があったじゃない。親子間や夫婦間でも特例を使わなければ非課税にならないなら、毎年、基礎控除の範囲でお金をあげたらどうかしら?毎年109万円くらいの額を子供や孫にあげるの。そうすれば、塵も積もれば山になりますから、税率の高い贈与税を気にする必要がないでしょう?基礎控除の範囲で上手くプレゼントすればいいのよ!」
祖父
「お前、まだ贈与のことを考えていたのか」
祖母
「ええ。それで思いついたんですよ、お父さん。遺産として残すと相続税の対象になるし、下手をするとこの子たちがケンカをする原因になってしまうじゃありませんか。だから、毎年、基礎控除の額だけ息子たちにお金をあげていけばいいじゃないですか。これが一番、税金にも相続で揉めることにも対策になる方法じゃありませんか?」
祖父
「毎年110万円ずつ渡していけば10年で1,100万円か。なるほどなあ。いい方法かもしれないな」
祖母
「ね、お父さんもそう思うでしょ?」

 

おばあちゃんはまさに閃いたという表情でした。考えてみると、確かにこれは使えそうな方法です。

 

贈与税の基礎控除内で毎年贈与!これってどうなの?

 

贈与税には基礎控除という誰でも使える非課税の枠があります。この誰でも使える非課税枠を「基礎控除」といいます。
贈与税の基礎控除は110万円なので、毎年110万円までの基本的に贈与税の課税がありません。それ以上の額を贈与してはじめて税金が課税されるという話になります。だからこそこの基礎控除はとても大切な知識なのです。

贈与税を一定条件のもとに優遇してもらう制度は、条件に当てはまらなければ使うことはできません。
親から子への贈与であっても、条件全てを満たさなければ「贈与税はしっかり払ってくださいね」という話になってしまいます。親子兄弟姉妹間や、祖父母から孫へ財産を渡すことも贈与の対象になるので、相続のために生前贈与をするためだけでなく、普段の生活の中でも贈与、つまり財産のプレゼントは気をつけなければならないものなのです。

特に贈与税は非常に税率の高い税金で、基礎控除である110万円を引いてもさらに1,000万円までのお金を贈与する場合は税率が何と40パーセントだというのですから凄いもの。1500万円以下だと税率は何と45パーセント、3,000万円以下で50パーセント、3,000万円超で55パーセントもの税率になります。金額によっては半分以上税金で持って行かれるという結論に・・・。10個入りの温泉饅頭をお土産にもらったら、税金で4個持って行かれるような悲しい話です。

生前贈与は特に贈与税との関わりの深い部分なのです。まずは税率と基礎控除をおさえて、贈与税と上手くおつき合いすることが大切です。税金は払わなければいけないものとはわかっていても「こんなに引かれたらほとんど残りません!」という話です。だからこそ世の中に人たちは税金対策に頭を悩ませるわけです。

そこで、多くの人は、おばあちゃんのように「一気に高額私のではなく、小分けにして基礎控除内で毎年贈与すればいいのでは?」と考えます。しかし・・・息子はおばあちゃんの言葉に対して難しそうな表情を浮かべています。どういうことなのでしょう。おばあちゃんはいけないことを言っているのでしょうか?

 

答えは×!税金を集める側も色々考えています

 

「母さんが考えたことは、色々な人が思いついて、既に実行しているんだけど・・・」
祖母
「あら、皆さん贈与税対策として同じようにしているのね。確かに基礎控除110万円以内で毎年贈与すれば、贈与税の課税対象にもならないし、面倒な特例の条件だっていちいち気にしなくていいもの。一番楽な方法じゃないかしら」
「母さんの言う通りだな。この方法を使えば、預金が1,000万円あって、すぐに子供たちの生活資金として渡したいと考えて生前贈与を選択しても、贈与税の課税対象になることもないのだろう?世の中の人たちは、やっぱり色々考えて対策しているんだなあ」

 

ここで少し話を整理してみましょう。

おばあちゃんが言っているのは、温泉饅頭を10個まとめてもらってしまっては贈与税がかかるから、毎年1個ずつ10年間あげる約束をしたら?という話です。10個一気にもらってしまったら課税対象になってしまい、贈与税の高い税率のせいで4個持って行かれてしまいます。それなら、毎年1個であれば基礎控除内でおさまるのではないか、基礎控除内で贈与分をおさえてしまおうという方法です。これなら、相続税対策にも贈与税対策にもなりそうです。実際、この方法を試した人がいました。

「母さんと父さんが話している方法、実際に試した人がいて、贈与税の対象になったぞ」
祖母
「え!」
祖父
「基礎控除内なのにか?」
「そうなんだ。例えばAが毎年Bに『基礎控除内なら税金が課税されないよ』といって、100万円ずつ10年間お金をプレゼントする約束をしたとする。確かに1月1日から12月31日までの贈与が110万円におさまっていれば基本的にOKという話ではあるんだが、こういう場合は『ズルです』みたいな解釈がなされる。つまり、毎年の基礎控除内の贈与でも贈与税の課税対象になるんだ。国税庁のホームページで解説されている(https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4402_qa.htm#q1)」
祖父
「駄目じゃないか!せっかくいい方法だと思ったのに」
祖母
「残念ね。税金を取る側も、納める側がこうやって税金対策をしてくることは想像しているということかしら」
「そういうこと」
祖母
「基礎控除内でも贈与税の課税対象になることがあるのね。気をつけないとね。他の方法も考えないと」

 

お金ではなく「金」ならどう?贈与税の課税対象になる財産とは

 

祖母
「私、いいことを思いついたわ!」

おばあちゃんがまた声をあげました。基礎控除内で毎年贈与をしても贈与税の課税対象になる場合があるというリスクがあったため、他に何か方法がないのか考えていたようです。

祖父
「今度は何を思いついたんだ?」
祖母
「あのね、お父さん、要はお金を渡さなきゃいいんですよ」
祖父
「・・・と、言うと?」
祖母
「たとえば私のとても高価な指輪があるじゃないですか。亡くなった義母さんからいただいた真珠とダイヤの。あの指輪をお金の代わりにあげたらいいじゃないですか。アクセサリーなら換金すればお金になるじゃないですか。・・・あの指輪は気に入っていますから、本気であげる気はないですけど」
祖父
「急に何を言い出すかと思ったら」
祖母
「まあ、あなたが素敵な指輪を買ってくださるなら、あの指輪は贈与に使いますけど」
祖父
「ないない、そんなお金はない!・・・だが、いい方法かもしれないな。お金の代わりに物を渡せば、贈与税の課税対象にならないんじゃないか?物の他に、ちょくせつお金を渡さずに、旅行代金を持ってあげたり、買い物の支払いをこちらが持ってあげたりすれば、贈与じゃないじゃないか。この方法ならどうだ?」

おじいさんは得意そうな表情を浮かべています。しかしお父さんは、またしても難しそうな表情です。この方法でも駄目なのでしょうか?

「父さん、母さん、それは無理な話だ。そういう方法を考えた人が今までいなかったと思うかい?換金できるものだけじゃなく、お金として換算できるものは、お金そのものでなくても贈与税の課税対象になる財産なんだよ」
祖母
「え、そうなの!?」
祖父
「こっちも駄目か!」
「そう。駄目なんだよ!」

贈与税の対象になるのは、何も現金だけではありません。例えば、

  1. 親が不動産のお金を出したのに親の名義が不動産に入っていない
  2. 親に借りたお金を免除してもらった
  3. 有利な条件でお金を貸してもらった(無利息など)
  4. 物(宝石や金など)でもらった
  5. 旅行代金や買い物代金を支払ってもらった
  6. 親から高額な不動産を安く購入した
  7. 自分が保険料を支払っていない保険の保険金を受け取った

などが贈与に該当する可能性があります。

対して、扶養義務者から受け取った生活費や教育費で常識的な範囲の額、香典費用や損害賠償金などは基本的に贈与に該当しないとされています。あくまで「基本的に」であり、額や税務署の判断によっては贈与に該当するケースもあるということです。

 

最後に

祖母
「贈与って難しいのね。相続対策として生前贈与が有効でも、こんなに難しいと怖くて手が出せないわ」
「そう、だからこそ法律や税金の専門家に相談することが大切なんだよ。不動産のことだったら、不動産屋にも色々きいてみることが重要なんだ」
祖父
「なるほどな。とりあえず、こういう方法があるということを知っておいて、色々考えてみるのがいいんだろうな」

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