生前贈与という方法を考える!相続対策と税金の関係

「相続対策をしたい!」と考えていても、問題はどんな方法を選択するかです。

我が家は財産がないから遺産相続問題とは無縁だろうと軽く考えていても、実際は、それまでの親族関係や介護問題から、相続を切っ掛けに親族間の大喧嘩に発展してしまうことも少なくありません。
そこにお金の問題でもある相続が絡むわけですから、事態はより複雑になります。特に相続が発端となって仲の良い兄弟が口も聞かない嫌煙の仲になることも。両親にできることは、せめて相続が皮切りとなって家族仲が悪化することを防ぐことではないでしょうか。そのためには遺産に関係なく相続対策をすることが重要です。

今回は、息子に「遺産額に関係なく時に相続トラブルに発展することがある」「相続対策はしっかりした方がいい」と説得されたおじいちゃんとおばあちゃんが、自分たちができる相続対策について考えます。

一体どんな方法があるのでしょう?

どんなに少なくとも財産とは「残るもの」!考えておこう

祖父
「相続対策か・・・うーん。お金持ちだったら遺言書をしたためることも考えるんだがなあ」
祖母
「うちはせいぜい預金と実家の家と土地だけですものね。遺言書を作るのも大げさすぎないかしら」
「この間も言っただろ。相続対策は遺産の額に関係なく必要だって」
祖父
「おお、仕事から帰ったのか。いやあ、温泉はよかったぞ。これからもたまに行こうと思っているよ。なあ、母さん?」
祖母
「ええ、本当に。ツツジも見頃でね、とってもよかったわ。ちょっと空き家も目立ちましたけど。はい、これ。お土産の温泉饅頭」

母親に饅頭を差し出され、息子はちょっと疲れたような表情です。ですが饅頭を受け取ると、さっそく一個の封を切りました。

考えようによっては、旅行や趣味にお金を使ってしまうことも相続対策の一つかもしれません。
貯めるだけ貯めて、財産の持ち主が死んでしまっては、何のために頑張って財産を殖やしたかわかりませんよね。だからこそ、相続対策をすると同時に、財産を使うことも必要なのではないでしょうか。時に使ってこそお金。適切な時に処分してこその不動産です。「使う」ということ全てが「浪費」ではありませんから、遺産として全てを貯めておくのではなく、使うことも考えてみましょう。

ですが、人間、何時死ぬかわかりません。先のことは神様でもなければ予想できないですよね。将来のことをぴったり当てることができないからこそ、死に合わせて財産を使い切ることはできません。財産は「残るもの」であり「処分を子孫に任せなければならないこと」を想定して、相続のことを考えるのは大切なことなのです。

「相続対策として有名なのは遺言だけど、他にも色々な方法があるんだ」
祖母
「へえ。例えば?」
「例えば生前贈与。生前に財産を子供や孫に贈ってしまう方法がある」
祖母
「でも、贈与税は税率が高いと聞いたわよ。お隣さんが御親族に土地をあげたら、かなり税金がかかって困ったという話をしていたわ」
「確かにその通り。贈与税はとても税率が高くて、1,000万円くらいの額を贈与すれば税率が40パーセント以上になってしまう(参照、税率はこちら! )。日本の税金の中で一番税率の高い税金が贈与税だとも言われているんだ」
祖母
「あら、それじゃあ生前贈与は危ないではないかしら。相続対策のために、相続税より税率の高い贈与税の対象になっては意味がないでしょう。かえって損してしまうわ」
祖父
「ああ。それにお前、前に相続税が課税されるケースは100件のうち4件程度しかないと言っていたじゃないか。相続で親の財産を受け取ったら課税されなかったのに、生前贈与をしてしまえば課税される可能性があるということは、かえって損するということじゃないか?税金が課税されてしまえば、その分だけ財産は減ってしまうんだぞ」
「だから生前贈与にはコツがあるんだよ。コツを知って贈与をしないとまったく相続対策にならないどころか、課税で損をしてしまう。コツとしては ①専門家への相談により計画を立てる。 ②制度を活用する。 ③贈与税の性質を知っておく。 という3つが大切なんだ」

 

生前贈与という相続対策を考える!問題はやはり贈与税

 

生前贈与は相続対策として有効な方法です。ただし、財産の贈与を受けると親子や夫婦であっても贈与税の課税対象になってしまいます。相続対策をしてかえって税金が増えていては意味がありませんよね。生前贈与は主に相続税対策として使われます。しかし、遺産額に関わらず相続手続きを楽にするため、相続争いを回避するためにも使うことができるのです。

例えば実家があって、実家にはお父さんが一人で住んでいたとします。お母さんは数年前に亡くなっています。
お父さんには息子が二人いて、一人は東京で家庭を持ち、もう一人は同県内で就職しています。一般的なケースでは、お父さんが亡くなってから家を相続するということになるでしょう。ですが、この場合も生前贈与が可能です。

息子二人に実家を使う意思があるか確認し、もし一人の息子が将来的に実家に住む意思があるというのなら、家の名義をお父さんから息子に移してしまうのも一つの手です。生前贈与・財産の生前処分を活用することで不動産や預金を適材適所に振り分けておけば、遺産は自然と減りますし、相続時に必用になる手続きも少なくなります。

ただ、デメリットになるのはやはり贈与税の税率の高さです。
そこで、税金の専門家である税理士に相談し、計画を持って生前贈与や財産の処分を進めていきましょう。税理士が関与することによって賢く生前贈与を進めることができるのです。

専門家に相談するのはトラブルが起きた時だけではありません。相続を楽にするためにも、税理士や弁護士、司法書士、行政書士、ファイナンシャルプランナーは積極的に使っていきましょう。
自治体や弁護士会、司法書士会などで無料相談を実施していることがあります。こちらも積極的に使うのがお勧めです。

 

特例も賢く使っていこう!夫婦間では税金優遇も

「贈与税は税率が高い税金だけど、親が子供の財産を贈与する時に使える特例制度もあるんだ。おじいちゃんやおばあちゃんが孫に教育資金を援助する時にも使える特例(参照 詳細はこちら!)があるから、生前贈与を考えるなら、こうした特例を積極的に使うことが大切だ」
祖父
「なるほどね。例えばどんな特例があるんだ?具体的な事例はないのか?」
「まずは基礎控除。これはどんな贈与にも使える控除で、一年間に110万円の枠がある。つまり、一年の間に110万円までの贈与は非課税になるという仕組みだ(参照 、詳細はこちら!)」
祖母
「要するに、その年の贈与として109万円をあなたにあげたら、その分は非課税という感じかしら?」
「簡単に理解するならその解釈でいいよ。毎月5万円ずつ渡して年間で60万円であれば基礎控除の範囲内だから、基本的に贈与税はかからない。でも、この考え方には落とし穴があって、気軽に贈与をしたら贈与税が課税されてしまったというケースもあるから注意しなければいけない。
よくあるのは、贈与税の対象をお金だけだと勘違いしてしまっているケースかな。贈与税の対象になる財産はお金だけじゃないから、お金と品物を合わせたら軽く110万円を超えてしまっていて、贈与税を払ってくださいねと怒られることがある」
祖母
「あらまあ、複雑!基礎控除の範囲内でも安心できないということ?」
「そういうこと。もちろん家族間でも贈与をすれば贈与税の課税対象になるから、父さんが『母さん、これで真珠のネックレスでも買いなさい』と200万円渡したら、基本的に贈与税の対象になる」
祖母
「お父さんからネックレスを買ってもらう時には気をつけなきゃいけないわね」
祖父
「安心しなさい。そんなお金はないから。・・・他に、何か税金をかからないようにする制度なんかはないのか?」
「そうだな・・・例えば、父さんと母さんの間で使える『おしどり贈与』と呼ばれる制度がある。婚姻期間20年を超える夫婦が住宅取得のための贈与をした場合、一定額が非課税になる制度だ。一生に一度しか使えない特例だけど、非課税になるのが2,000万円で、基礎控除の110万円と合わせれば2,110万円になる、額の大きな特例制度があるよ(参照 、詳細はこちら!)」
祖母
「あら、じゃあ、私、ネックレスじゃなくて家を買うわ。お父さん、援助してくださいな」
祖父
「何を言っているんだ、お前は。家ならこの家があるだろう。この特例は別居のための制度なのか?まったく使えそうにないぞ!?」

 

このように、贈与税には「基礎控除」「自分の子供や孫に財産を贈る場合」「夫婦間での贈与」を優遇してくれる決まりごとがあります。

おじいちゃんやおばあちゃんが孫を援助するとして、渡したお金が全て贈与税の対象になってしまっては大変ですよね。
子供を援助したくても、住宅の頭金などの高額を援助すると贈与税の課税対象になってしまい、税金のせいで全く援助にならなかったということであれば意味がありません。

だからこそ、主に、親・子・孫の間の贈与は「生活する上で大切だよね」「親は子や孫を援助しなければいけないよね」「そんなお金に税率の高い贈与税をそのまま適用してしまったら国民から大ブーイングだよね。困るよね」という理由から、こういった特例が設けられているのです。生前贈与をするためには、こうした特例について知っておくことが大切です。

ただし、普段あまり税金に馴染みのない人が特例について条件から内容まで細かく把握しておくことは難しいですよね。
だからこそ専門家を使いましょうという話に繋がるわけです。それぞれのお宅の家族形態に合わせて「生前贈与を考えているのですが、使える特例はないですか?」と相談することが大切なのです。

 

最後に

 

「この他にも、贈与税に知っておくことも大切なんだ。生前贈与は相続対策に有効だけど、うかつな贈与はかえって危険で対策にならないことがあるから要注意だな」
祖父
「なるほどな。よし、生前贈与の話はこのくらいにして、もう一個饅頭を食おうか。母さん、お茶を淹れてくれ」
祖母
「はいはい」
「母さん、俺にも饅頭をもう一個くれないか?」
祖母
「お饅頭は自分で取りなさい。母さんもうかつな生前贈与は控えることにするわ」

⇒親が認知症に!不動産売却の方法は?

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