うちに遺産はありません!それでも相続で揉めるって本当?

不動産や預金を持っていても「うちでは少額しかないから」「不動産は実家だけだから」なんて考えていませんか?

確かに遺産の額が一定額以内であり、上手く控除内に収まれば相続税は課税されません。しかし、相続税が課税されないからといって「相続」というものを甘く見てはいけません。ドラマの題材でよく遺産争いが使われるように、時に相続は今まで仲の良かった家族に思わぬ亀裂を生じさせることがあります。

子供の頃から仲良く一緒に遊んでいた息子たちがたった100万円の預金を巡って大喧嘩、終いに一生涯疎遠なんて想像したら、親としては心が痛みますよね。遺産は時に「お金の問題」だからこそ、家族仲を引き裂いてしまうことがあるのです。

遺産相続で家族が揉めないためにはどうしたらいいのでしょう。一つの方法として、「相続」について知識を持っておくことが大切です。もちろん弁護士や司法書士のような難しい専門知識は必要ありません。自分の相続をコーディネイトできるくらいの知識は持っておいて損はありません。

「遺産で揉めたら相続人に解決してもらおう」ではなくて、相続を争続にしないために、簡単な相続知識は持っておきましょう。まずは「なぜ相続で揉めてしまうのか?」という部分から、ある家族を舞台に会話を見ていきましょう。

 

相続税の課税されるような相続は少ない!それでも揉める

祖父
「相続か。よくドラマで殺人事件に発展している印象だけど、うちにはそんなに財産はないけどなあ。遺産で揉めるといっても、それってお金持ちだけの話だろ?財産がなければ揉めようがないよ」
祖母
「そうねえ。うちの財産は預金とこの家だけだもの。あと、おじいちゃんが行員さんに勧められて買った投資信託くらいでしょう。揉めるほど財産がないのだから、遺産相続争いなんて、どこか遠い国のお話みたいね」
祖父
「まったくだ。遺産はお前たちで好きなようにわけなさい。それで十分だろう。相続対策なんて、相続税が課税されるようなお宅の話だ」
祖母
「相続税の課税されるお宅なんて、日本では少ないという話を聞いたわよ。うちにはやっぱり相続争いなんて、関係のない話ね」

 

おやおや、おじいちゃんとおばあちゃんは、自分たちは資産家ではないから遺産相続争いとは無縁であるという考え方のようです。確かにドラマの題材で取り上げられるような遺産相続の話は、かなりの資産家の家族関係をテーマに繰り広げられることが多いという印象です。

土地や建物をたくさん持っていて、亡くなって人(被相続人)は預金や有価証券を何億円分も所持していて、しかも企業の役員であった。遺産相続争いのテーマとしては、おそらく多くの方がこんなご家族を相続してしまうのではないでしょうか。

確かに遺産における自分の取り分を巡って争うとしたら、ある程度の資産がなければ始まりません。ですが、世の中の遺産相続争いは、何も遺産の中の自分の取り分だけを巡って争うばかりではありません。根底にはもっと根深い問題、そして現代特有の問題もあるのです。

おじいちゃんとおばあちゃんが自分たちの相続について話していると、居間にひょっこりと息子が顔を出しました。おとうさんはどうやらおじいちゃんとおばあちゃんの会話が聞こえていた様子です。

「相続は何も遺産の額だけで揉めるわけじゃないぞ。遺産が実家だけでも揉める時は揉める」
祖母
「あら、お帰りなさい。さっきの相続の話、聞こえていたのね」
「ああ。父さんと母さんは遺産がなければ相続で揉めることはないと思っているみたいだけど、そんなことはない。日本で相続税が課税されるケースは100件のうち4件程度しかないと言われている。でも、相続で揉めたという話は別に珍しくないんじゃないか?」
「遺産が多くないと揉めないのなら、日本には相続税が課税されるような遺産がたくさんというケースが少ないわけだから、相続で揉めたという話も凄く珍しいことになるはずだろ。でも、相続争いなんて、そのへんにごろごろしてる」
祖父
「確かに、言われてみればそうだな。お隣の家も、じいさんが亡くなって長男と次男が揉めたという話を聞いた。別に資産家というわけじゃないのに、どうして揉めたんだろうな」
「それは簡単だ。」
「①遺産がないことによって揉める
②親族関係によって揉める
③遺産がマイナスで揉める
④相続したくなくて揉める
こういうケースもあるからこそ、
遺産が多くなければ遺産が少なければ揉めることはないと決めつけをするのは危険なことなんだ」
祖母
「あら、遺産の多さに関係なく揉めることはけっこう多いということ?」
「その通り」

 

お父さんが言うように、遺産相続争いに遺産額はあまり関係ありません。

遺産が多ければ遺産の取り分を巡って諍いが起きるということも考えられます。ですが、遺産額の多い少ないに関係なく、相続争いの火種は多くのご家庭に眠っているのです。ふとした切っ掛けに諍いに火がついてしまうことも!

例えば①から④であれば、こんな具体的な事例が考えられます。

1、遺産がないことによって揉める

遺産が少なく、その少ない遺産の取り分を巡って争うケースです。

遺産が多くて取り分を巡って争うケースと真逆ですね。例えば預金30万円が遺産の全てであったとします。
兄と弟両方が両親への生前の介護や仕事の手伝いを理由に「自分が多い方が妥当」と主張したとします。
この場合だと、遺産が例え少なくても諍いになってしまいますよね。双方、100万円ずつあれば介護費用に充当し、十分に納得したかもしれません。けれど遺産が少ないからこそ時に揉めてしまうということも考えておかなければいけません。

あるいは、こんな事例はどうでしょう。

遺産は10万円の預金だけ。保険金もありません。葬儀に100万円かかり、長男が大部分を負担しました。長男は葬儀の負担をしたらかと、遺産は全部自分のものにすることが妥当であると主張しました。しかし弟は生前の被相続人の介護費用を負担していたと主張し、自分こそが全部もらうことが妥当だと言い張りました。
または、法律通りに半分ずつわけるべきだとも言いました。葬儀費用や介護費用をカバーできるだけの遺産があれば揉めなかった可能性がありますね。

2、親族関係で揉める

また、こんな事例を想像してみてください。実家に父親と同居していた長男は生前父親の介護に尽力しました。対して都会に住む弟は金銭的にも労力的も援助はしておらず、長男は常々この状況に不満をこぼしていました。

父親が亡くなりいざ相続となった時、ついに長男の不満が爆発。弟に「お前に遺産はやらない」と怒鳴ってしまいました。介護や事業への貢献度によって親族間に不和が生まれることがあります。また、どうしても長男などの両親と実家に同居する人と、弟や妹など他県に働きに出てしまったり、お嫁に行ったりしてしまった兄弟姉妹間で被相続人の死を切っ掛けに、諍いへと発展してしまうことがあります。

切っ掛けは親族間の不平等間や中の良し悪しですから、これも遺産が多いか少ないかとは別の問題であるといえます

3、遺産にマイナスが多くて揉める

例えば父親の遺産相続をしたはいいけれど、遺産のほとんどがマイナスであったとします。
マイナスが多いということで親族そろって相続放棄や限定承認の手続きをすれば話が早いのですが、「実家は残したい」「兄さんは学費や結婚費用を父さんに出してもらったのだからマイナスを負うべき」など、親族の意見が交錯し、言い合いになってしまうことがあります。
限定承認というプラスに応じてマイナスを相続する方法は、相続人全員が手続きに賛成して、一緒に裁判所で手続きをすることが必要です。誰かが反対して手続きを渋ってしまうと限定承認ができないのです。

相続放棄は相続人一人で手続きでき、他の相続人の承諾は必用ありません。
しかし、一人が相続放棄をしても他の相続人は個別に手続きをしなければならない上に手続き期限があるため、「お前が相続放棄をしたせいで俺が借金を背負うことになった」など、きちんと話し合い、連絡を取り合っていないと、後日に確執を残してしまうことになります。

相続を機に親族間の確執が残るなら、これも一種の相続問題といえるでしょう。

4、相続したくなくて揉める

遺産相続は何も全ての相続人が大喜びして遺産を相続するというわけではありません。中には「相続したくない」という理由で相続人間において遺産の押しつけあいが発生することもあります。

例えば東京都の外れにいくつかの不動産を所持していたとします。しかしなかなか不動産は売れず、空きや状態のまま相続することになりました。今後もリフォームでもしなければなかなか売れそうにありません。
リフォームするといっても多額のお金が必要になりますし、売れるかどうかという確証がありません。また、不動産を相続するとずっと固定資産税などの税金を払い続けなければいけません。
相続してしまうと大きな損失になってしまうため、相続人間で遺産の押しつけ合いをすることがあります。

また、現在は東京に家族と一緒に住んでいて故郷に帰るつもりはないのに、故郷の実家を相続してしまうと、遠く離れた実家の納税義務と管理責任が発生します。「兄さんが相続しろよ」「いや、弟が相続しろよ」と、いらない遺産を押しつけ合うという相続争いに発展する可能性があるのです。もちろん相続においては「欲しいものだけ相続する」というわがままは通りません。

 

相続と遺産額は関係ない!相続対策を

 

祖父
「遺産額に関係なく諍いになる可能性があるんだな」
「そうなんだ。だから、生前になるべく争いに発展しそうな可能性を潰しておくことが大切なんだ」
祖母
「なるほどね。『うちなんて遺産なんかほとんどないわ』といって気楽に考えるのではなくて、どんなお家でも相続対策が必要ということね。それじゃあお父さん、せっかくだから預金で旅行でも行きましょうか」
祖父
「それはいいな。そろそろツツジが綺麗に咲く季節だ。温泉あたりに泊まって、のんびり花見でもしようか母さん」
「どうして相続争いの話から急に旅行の話に?」
祖母
「あら、だって、争いの種はなくしておいた方がいいでしょう。預金を旅行で使ってしまえば、少なくとも相続問題の芽を一つは潰せるわよね、お父さん?」
祖父
「ああ、その通り!」
「余計なことを言ったかな・・・」

 

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