日本全国で空き家が問題になっています。家を欲している人にすぐ売却できればいいのですが、やはり不動産は大きな買い物ですからそう簡単に買い手がつきません。
東京の銀座の一等地ならいざ知らず、同じ東京でも二十三区を離れると空き家問題とは決して無関係ではいられません。東京都の空き家率でさえ11パーセントを超えているという現状です。
既に日本全国、空きテナントや空室を見かける時点で空き家問題とは決して無関係ではないのです。
渋谷や世田谷といった比較的不動産が売れやすい地域でも、この状況がずっと続くというわけではありません。
首都機能の移転が盛んに話し合われています。また、企業の移転話なども聞こえてきますね。地価、そして不動産の売却のしやすさはずっと続くものではありません。だからこそ空き家問題は日本に住む人すべてに関係のある問題として受け止めるべきではないでしょうか。
問題として受け止め、自分がいざ空き家を所有するとなった時にどんなふうに処分するか、どんな処分方法があるか考えておく必要があるのでは?
現実に空き家を所有しているお父さんと息子のB太が、空き家の処分方法について話しています。空き家には一体どんな処分方法があるのでしょうか。
空き家の所有は大変!でも人に簡単にあげることもできない現状







空き家の放置はデメリットがいっぱい!特に辛いのが金銭的な負担
空き家を所持し続けると、
- 固定資産税がかかる
- 家の維持管理にお金がかかる
- 家の維持管理をする義務があるから時間も労力もかかる
というデメリットがあります。
もちろん自分の住んでいる家があり、その他に空き家も所持しているということであれば、自分の家の維持管理をし、空き家の維持管理もしなければいけません。
固定資産税も空き家分をおまけしてもらえるということはありません。固定資産税は地方税であり、自治体の大切な収入源です。空き家がもはやぼろぼろで廃屋のようになっていても、きっちり税金は課税されてしまいます。お父さんが「大きな負担」と言っていたのは、まさにこの固定資産税と家の維持管理費用のことです。
空き家は家計負担が大きいので、なるべく早く処分してしまうことが重要なのです。そこで考えたいのが処分方法です。処分方法の基本は「売却」「活用」「解体」の三つです。多くの人が真っ先に処分方法として思い浮かぶのはやはり売却ではないでしょうか。
売却は基本的に不動産屋に媒介してもらうのが一般的です。しかし、不動産屋の他にも、活用を検討すべきところがあるのです。皆さんは「空き家バンク」という名前を耳にしたことはありませんか?
空き家バンクとは?売却したいなら登録の検討を






確かにバンクは銀行という意味ですが、B太が想像しているようなサービスではありません。
空き家バンクは自治体または自治体から委託を受けた団体が運営する空き家の登録システムです。空き家を売るというと不動産屋という印象があるかもしれませんが、地域それぞれの空き家バンクに登録し売買するという方法もあります。空き家バンクへの登録は無料です。
空き家バンクの特徴は、不動産家では契約を断られるようなぼろぼろの家でも売却できる可能性があることです。また、不動産屋を通して売却するよりも売却値が低めになることも特徴です。
しかし、長年空き家になっていると廃屋化が進み、中にはぼろぼろになってしまっているという家が少なくありません。そんなぼろぼろの家も売却できる可能性があるのが空き家バンクなのです。
現在、古民家のリフォーム、イノベーション、土台の活用などの人気が高まっており、「こんなにぼろぼろでも売却できる?」という古い家も空き家バンクへの登録で売却できてしまうことがあります。もちろん必ず売れるというわけではありませんが、不動産屋の媒介に頼るだけでなく、空き家バンクなどの他選択肢も利用するのがいいでしょう。




空き家を活用するのも一つの手!コンビニや貸事務所へ転用


空き家は必ずしも売却する必要はなく、利用できるあてがあれば活用を検討してしまうのも一つのよい方法です。世の中では実際に空き家を売却という形で処分するのではなく、色々な方法で家主が活用している事例があります。
具体的な事例としては、
- 事務所として人に貸し出す
- 賃貸物件にリフォームして貸し出す
- コンビニエンスストアなどのお店として活用
- 老人ホームとして活用
- 駐車場として活用
- 地域の公民館として利用
といったものがあります。
事例を見ていくと、主に「収益を生む事業として」「貸し出して」活用していることがよくわかります。これらは家主が運営してもいいのですが、不動産活用のプロと相談する形で進めればその分だけリスクを減らすことができます。
空き家での事業は「とにかくお店を開けば儲かる」ということはありません。例えばコンビニエンスストアの経営を、空き家をリフォームする形で検討しているのであれば、周囲の状況や資金をよく考えて「リスク」について把握しておくことも重要になります。せっかく空き家で収益を生み出そうとしても、リスクを甘く見ているとかえって大きなマイナスを生み出すことになってしまうからです。
事業を行うなら、周囲の店にお客を取られてしまって閉店になってしまうリスクや、そもそも立地環境によってお客さんが入らないかもしれないというリスク、そしてコンビニのようなフランチャイズであれば、すぐ近くに同系列のお店ができて競争に負けてしまうというリスクも考えておかなければいけません。
また、商売といった事業を行うなら事業資金が必須です。
何かを始めるためにはとにかくお金が必要になるものです。「お店を出せば儲かるだろうから、そのお金で返済すればいい」という簡単な考えは捨てて、空き屋のリフォームまたは立て替え資金、事業資金の計画を立てましょう。もし事業資金を金融機関の融資に頼るなら、不動産活用のプロの意見を聞きながら、綿密な返済計画を立てておくことも必要になります。
空き家を事業に活用するのはとても有効は方法であり、上手く行けば収益が手に入ります。しかし、同時にデメリットも大きな方法ですので、慎重に決めたい活用方法です。
国土交通省では空き家利用のガイドブックデータを配布しています。こういったデータを参考にするのもいいですね。
事業活用はさらに慎重に!空き家の土地も調べよう





お父さんとB太の会話を補足します。
空き家の事業活用を検討しても、空き家の場所によっては話がスムーズに進まないことがあります。
一つはお父さんとB太の会話にあったように、土地活用によって近隣住民の通用路を塞ぐなどの結果になってしまい、近隣住民から苦情が出る場合。そしてもう一つが、土地活用しようと考えても許可が下りない場合です。
自分のものであれば日本全国どこの土地にどんな建物を建ててもいいと思うかもしれません。
しかし、日本の中には建築に制限がかかっている土地や、処分の制限されている土地があります。前者の代表が第一種低層住居専用地域です。近隣の居住環境を守るため、区域によってできない事業が出てしまい、建物にも制限が出てしまうのです。空き家を取り壊して建て替えし事業に活用しようと思ったら、土地に制限がかかっているためにできなかったということもあり得る話です。
空き家を活用しようという場合は、空き家の土地に制限がかかっていないかなどを調べる必要があります。近隣の調査も怠りなく!
最終的には取り壊し?補助制度も











唐突に出てきた言葉「リバースモーゲージ」。それは一体どんなサービスなのでしょう?
次回は「リバースモーゲージ」という空き家対策に使えるサービスについて簡単に解説して参ります。