《空き家問題》とは何なのか?5分でわかる日本を悩ませる問題点

祖母
「うーん・・・」
A子
「どうしたの、おばあちゃん? 難しい顔をして。」
祖母
「あらA子じゃない。お帰りなさい。ちょっとね、おばあちゃん、悩んでいることがあるの・・・」
A子
「悩んでいること?」
祖母
「そう。この家のこと。おばあちゃんとおじいちゃんが死んでしまったらどうしようかと思って。」
A子
「私とお父さん、お母さんには住んでいる家があるものね。」
祖母
「そうなの。だからこの家は空き家になってしまうの。最近『空き家問題』という言葉を聞くでしょう。この家も空き家の一つとして問題になってしまうのかと思ったら、将来のことはきちんと考えないといけないと思ってね。」
A子
「あ、私も学校で『空き家問題』の話を聞いたよ。空き家が増えると、地域の問題になってしまうんだよね?」
A子
「でもそれってどういうこと? どうして誰かの家が空き家になってしまうと地域の問題になってしまうのかな?」
祖母
「うーん、実はおばあちゃんもよくわからないのよ。そもそも『空き家問題』って何なのかしら?」

日本では空き家問題が発生しています。冒頭でおばあちゃんとA子ちゃんが話していたように、たった一軒の家が空き家になってしまうだけで、時に地域の問題になってしまうことがあるのです。最近よく耳にする空きや問題について、A子ちゃんご家族とおばあちゃんの話を中心に、「よく耳にするけれど具体的に空き家問題ってどんな問題なの?」「なぜ空き家になることが問題なのか?」について考えてみましょう。

■空き家問題とは何が問題なのか?東京住みでも他人事ではない

空き家問題とは読んで字の如く、「家が空き家化することによって起こる問題」のことです。

家はそもそも人が住むことを前提に建てられます。しかし家は個人の財産でもありますから、住もうが住むまいが勝手なような気がしますね。確かに勝手ではあります。ですが、家を空けておくと色々物騒ではないでしょうか。また、家は住んでいる人がメンテナンスしてこそ保たれているといえます

空き家の第一の問題は、「家の管理が行き届かない」ということです。別に住まないなら放置でいいのでは?管理しなくても特に大丈夫なのでは?と思うかもしれませんが、実は管理が行き届かないことは個人にとっても地域にとっても大きな問題になるのです。

どういうことでしょう?

祖母
「家をメンテナンスしないと何が問題なのかな? 人が住まないなら放っておいてもいいような気がするけどね。」
A子
「でも、学校で習ったよ。人が住まない家には動物が住み着いたり、虫が巣を作ったりするんだって。蜂が巣を作るとご近所の人が蜂に襲われてしまうし、動物が巣を作ると糞をするから、衛生的じゃないんだって。確かに家を空けたまま放置していると草がぼうぼうになるよね。動物や虫にとってはいい家かも。」
祖母
「なるほどね。確かに空き家にしてしまうと、動物や虫のせいで近所の人が迷惑してしまうかもしれないわね。それに、家が崩れそうになるとご近所さんは、壊れた家の瓦や粉塵が飛んでこないかはらはらするでしょうねえ。A子みたいな年頃の子が空き家の側を通っている時に家が倒壊してしまったら大変。」
A子
「うん、危険だよね。それに、防犯にもよくないんだって。社会の先生が言っていたよ。空き家に泥棒が入るんだって。」
祖母
「泥棒? 空き家には盗むものなんてないでしょうに・・・」

■空き家は危険?「健康・怪我・防犯・衛生」地域環境の低下も

空き家にしておくと、まず家の倒壊の可能性があります。人が住んでいる家は雨風でダメージを受けたり、経年により劣化が進んだりすると、住んでいる人がきちんと修理しますね。しかし空き家に住んでいる人はいません。持ち主はいても、持ち主は常に空き家を気にかけているというわけではありません。ですから、知らないうちに家のダメージが進行し、倒壊の危険や破片や粉塵が飛んでしまうことによって近隣住民への被害が考えられます。

また、空き家は動物や虫、そして犯罪の温床になると考えられます。

蜂が巣を作ると近隣住民が蜂に刺されるなどの被害にあう可能性があります。動物が巣を作ると糞による衛生面が低下する他、動物から人間へ感染する病気の発生源となる可能性もあります。健康を考える上でも空き家問題はゆゆしきことなのです。

犯罪においても空き家は大きな問題です。

空き家自体に価値のあるものを残しておくと、住人がいないのをよいことに窃盗被害に遭いやすくなります。また、空き家自体に価値のあるものを残しておかなくても、空き家は窃盗犯の隠れ蓑になることがあります。

空き家に潜伏して近隣の生活を観察し盗みには入りやすい時間を見定めたり、拠点として使ったりすることが考えられます。これは窃盗以外の犯罪にも考えられることです。空き家は地域の治安悪化を招く恐れがあるのです。

しかも、空き家が増えることでさらに問題が悪化する可能性も。

■空き家がさらなる空き家を作ることもある

皆さんが家を購入するとします。家は高額な買い物ですから、購入の際はよく近隣を確認するのではないでしょうか。その時に周囲の家々に人気がなく、しかも灯りもほとんど点いていなかったらどんな印象を受けるでしょうか。静かでいいなと思うでしょうか。ゴーストタウンのようだと寒々しさを感じるでしょうか。多くの人は後者の感想を抱くようで、一つの地域に空き家が増えると、その地域の印象まで変わり、新しく人が入って来難い、そして不動産が売れ難くなってしまいます。

新しい人がなかなか入って来ず、人が出て行くばかりで空き家が増える。そうすると人口も基本的に減少しているわけですから、町の施設やお店が減ってしまうという問題も発生します。施設やお店が減ってしまうと生活が不便になりますから、ますます人が転出してしまいます。するとさらに空き家が増えるという悪循環!

一軒の空き家が問題なの?と思われるかもしれません。塵も積もれば山となる、ならぬ「空き家も積もれば大問題になる」なのです。実際に、日本では積もってしまって大問題になっていますよね。

空き家は一軒だけでも衛生や安全面、防犯面での問題が考えられ、増えてくると町のサービスの低下や、不動産価格の低下、新しい人が入ってこない、不動産が売れない、周辺の生活環境がどんどん悪くなる可能性があるとデメリットがたくさんです。

■大好きなお店も閉店!シャッター街も増えてしまう

A子
「空き家は一軒でも問題があるけど、増えてくると地域に色々な影響があるんだね。」
祖母
「そうね。空き家が増えるということは周辺に住んでいるお客さんが減るということでもあるから、商店街がどんどんシャッター街化する原因になるかもしれないわね。昔よくA子の家にお土産で買っていったイチゴショートが美味しいケーキ屋さんも、いつの間にか閉まっちゃっていたわね。」
A子
「え、あのお店もうないの?」
祖母
「近くに大きなスーパーができたからだと思っていたけど、地域に空き屋が増えてお客さんが減ってしまったことも原因の一つだったかもしれないわね。」
A子
「私の好きなケーキ屋さんが閉まる原因になるなら、やっぱり空き家問題って大変なことかも・・・」
祖母
「やっぱりおばあちゃんの家も、ご近所の迷惑になる前に、どうやって処分するか考えておかなければいけないわね。」
A子
「でも、そんなに深刻に考える必要はないんじゃないかな。確かに個人の力でお店はなかなか増やせないけど、虫や動物は周辺の人や家の持ち主がきちんとすればどうにかなるんじゃないかな?」
祖母
「どうにかって?」
A子
「たとえば、毎日お隣の家がきちんと掃除するとか?」

A子ちゃんは空き家になったお宅を、お隣をはじめとした近隣住民が掃除し、治安や衛生、危険に気をつけてはどうだろうと言っています。これは可能なことなのでしょうか?

■空き家だからといって勝手に駆除や掃除はNG!警察や行政も手を出せず

結論から言うと、これはなかなか難しいことです。この難しさが空き家問題に拍車をかけているといえます。

近隣住民はどうして、「迷惑だ、危険だ、衛生的によくない」「地域の生活環境に影響を及ぼす」と思いながらも空き家を放置しているのでしょう。答えは簡単です。それは「他人のもの」だから。

他人の家の敷地に勝手に入ってしまったら、基本的に不法侵入になってしまいます。それに、家の管理にはお金がかかりますから、他人がお金を出してまで崩れそうになっている壁を補修したり、蜂の巣を駆除したりということはおかしいですね。皆さんが「お隣の家に蜂の巣ができて迷惑しているので早急に駆除してください」と言われたら、「そんなことはお隣の家に言ってください」と思うことでしょう。

しかし、近隣住民が家の持ち主に連絡して駆除や危険な壁の修復を家の持ち主にお願いしたいと考えても、さらに難しい問題があります。それは、持ち主の連絡先がなかなかわからないということ。家の登記を調べてその住所に連絡してくれたとしても、虫の駆除や空き家の修復にはお金がかかります。実際に持ち主が動いてくれるとも限りません。

では、警察や行政にお願いするとどうにかしてくれるかというと、それもまた難しい話です。不動産はたとえ空き家であれ個人の財産です。行政や警察が勝手に処分できるかというと、基本的にはできません。また、もし行政や警察が蜂の巣を駆除し、家の補修をしてくれたとしても、そのお金は誰が出すのですか?という話になります。

しかも『空き家問題』は今や国の問題です。一軒二軒ではなく、各地域にごろごろと空き家があります。一軒一軒対応していたら、空き家のことだけで警察や行政がパンクしてしまいますね。だからこそ空き家は持ち主がきちんと管理あるいは処分しなければいけないのです。しかし「家の修繕や虫の駆除にはお金がかかる」し「持ち主にはなかなか連絡が取れない」、しかも持ち主が動くかどうかわからない・・・これでは堂々巡りですね。

■近隣への迷惑や家主の負担を考えると取り壊しも選択のうち!でも・・・

A子
「近隣住民や役場の人が空き家を勝手に掃除するのが難しいなら、そもそも空き家なんて壊してしまえばいいんじゃないかな?」
祖母
「そうね。それが安全かもしれないわね。でも、前におばあちゃん、『空き家を壊すと税金が高くなる』という話をニュースか何かで聞いた覚えがあるのよ。税金が高くなってしまうから、空き家の持ち主はなかなか家の取り壊しに踏み切れないのですって。」
A子
「え! 近隣住民への迷惑と安全を考えて空き家を取り壊すと税金が高くなるの? どういうこと?」
祖母
「ええと、確か・・・何だったかしら?」

おばあちゃんがニュースで見た「空き家を取り壊すと税金が上がる」とは、どんなことなのでしょう?それって本当なのでしょうか?

■空き家を取り壊すと税金が最大で6倍に!整理したくても取り壊せない!

実はこれ、本当の話なのです。

空き家を所持している人の中には、近隣住民の迷惑や被害を考えて早々に取り壊しを検討する人もいます。また、これから住むかもしれないと暫らく家を所持していても、けっきょく住むことはないとわかった段階で、維持費や固定資産税の支払いが負担で、やはり取り壊しを検討する家主もいます。しかし、検討した結果、取り壊しになかなか踏み切れないという現状があるのです。それは、家を取り壊してしまうと、固定資産税をはじめとした税金が跳ね上がってしまうという大問題があるからです。

例えば今まで年10万円で済んでいた固定資産税が、空き家を取り壊してしまったことによって急に40万円になる。これはあくまで例ですが、固定資産税が跳ね上がることは実際に起きています。だからこそ、空き家が危険でぼろぼろの状態になっても、家主は取り壊し後の税金負担が重すぎて取り壊せないという悪循環が生まれています。

そもそもどうして空き家を取り壊すと税金が増えるのかというと、それは土地に対する特例が使えなくなってしまうからです。

住居があるからこそ使えている土地の税金を軽減する特例が空き家取り壊しによって使えなくなってしまった結果、土地の固定資産税が最大で六倍にまで跳ね上がってしまい、税金負担がとんでもないことになってしまいます。今まで10万円で済んでいた土地分の固定資産税が特例を使えないことによって最大で六倍になる可能性がある!これはとっても怖いことですね。六倍というと、単純計算でも60万円です。さらに都市計画税なども空き家があることによって特例の対象になるため、都市計画税もぐんと上がってしまうという恐ろしい事態に。

家主も空き家が近隣住民の迷惑になっていることを承知していても、10万円と60万円では懐へのダメージが大きく異なります。だからこそ簡単に取り壊せないという問題があるのです。

ただし、平成26年からは「特定空き家」という制度がはじまりました。固定資産税の減税を目的で空き家を荒れ放題にして近隣に迷惑をかけていると、この特定空き家の対象になり、固定資産税の軽減を受けることができなくなる可能性があるのです。

また、空き家を放置し近隣に迷惑をかけていると、行政側が空き家の取り壊しを代わって行い、費用を持ち主に請求する(代執行)という可能性もあります。基本的に行政は個人の財産に手を出すのはいけないことですが、これは公、つまり近隣住民のことも考えての最後の手段です。空き家の解体費用は100万円~ということが少なくありません。

これはあくまで少ない見積もりで、業者の取り壊し代にプラスしてゴミ処理場への運搬代、そして処分の際に自治体に支払う手数料を別としている場合もあり、家の規模によっては数百万円に上ることも。代執行で取り壊しをされるにせよ、自分でするにせよ、取り壊し費用はかなりの額です。「相続」でいきなり家主になってしまった空き家の管理人にとっては、今後の人生にすらダメージを与えてしまいかねない大出費になることでしょう。固定資産税や都市計画税と合わせても痛い出費に違いありません。

現状として、空き家をそのままにしておく方が取り壊し費用と取り壊し後の税金総計よりお得になるかな?ということで、空き家は放置され、全国で増えてしまっているということですね。

■生前から「家」について考えておくことが大切!空き家も含めて相続対策

A子
「取り壊したくても税金が高くなってしまうから取り壊せないのか・・・。空き家の持ち主にも事情があるんだね。」
祖母
「これだけ空き家が問題になっているのだから、きちんと取り壊しをして迷惑をかけないようにしようと頑張る家主の負担を自治体側も考えてあげて欲しいわね。」
A子
「うーん・・」
祖母
「どうしたの、A子?」
A子
「うん。そもそも、どうして空き家になるのかなって。今これだけ問題になっているっていうことは、空き家が増える原因があるということだよね?」
祖母
「そうねえ。確か『相続』も空き家が増える原因になっているのよね。これは、A子も他人事じゃないわね。」
A子
「え、そうなの!? 相続? 私が?」
祖母
「そう。この家はおじいちゃんの名義だから、おじいちゃんが死んでしまったら、おばあちゃんとA子のお父さんが相続人になるでしょう。」
A子
「それと私に何か関係があるの?」
祖母
「だって、A子のお父さんが亡くなったら、今度はA子が相続人になるでしょう? おじいちゃんとおばあちゃんは、空き家になるこの家のことも考えて相続対策をしなければいけないのね。」
A子
「ええ? それと空き家がどんな関係があるの? 私、よくわからないよ。」

A子ちゃんは空き家と相続の深い関係性がよくわからないようです。皆さんは相続が空き家の原因の一つを作り出すことをご存知でしょうか?これは日本における相続の大きな問題点とも繋がる話なのです。

次回は相続と空き家問題の関係性について解説したいと思います。

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老後のお金と暮らし

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