相続人が誰もいなくて空き家化する!?空き家の管理責任は誰にあるの?

空き家問題とは何なのか。地域と個人にどんな影響があるのか。そして相続が空き家化を招いてしまうことがある。前回の記事で、空き家問題はなぜ問題なのか、そして相続がどう空き家問題に関わっているのかをお話ししましたね。今回も空き家と相続のお話です。

相続により、一人の相続人にたくさんの不動産が集中してしまい、たくさんの空き家の固定資産税を払い続けなければならないと共に全ての家に住むことができず、買い手もなかなかつかないことから必然的に空き家化してしまうという問題があります。しかしこれはあくまで「相続人がいた場合」の話です。では、今度は相続人がいない場合の空き家化との関連性です。

空き家問題は非常に相続問題と関連性が深い問題です。相続人一人に不動産が集中した結果により空き家問題が深刻化する可能性もありますが、相続人がいないことによって深刻化することもあるのです。それってどういうことでしょう?

相続や空き家問題への理解を深めるために是非とも知っていただきたい知識です。

■相続と空き家問題は関係が深い?全国的な大問題

生前に不動産を負動産にしないようによく考えておかなければ、空き家問題の仲間入りは免れられないということです。相続人がいない場合は相続人不存在という手続きに繋がり、最終的に遺産は特別縁故者に分与されるか、国庫に帰属するという話をしました。近年は一年あたり260億円以上が遺産の受け取り手がなく国庫に帰属している状況です。これはかなり多い額ですよね。

実は世の中には相続人がいないというケースが珍しくありません。相続人がいないことなんてあるの?と不思議に感じるかもしれないですが、国庫に帰属する遺産額を確認すれば決して珍しくないということを分かっていただけるはずです。相続人がいないというケースは、もともと子や配偶者がいなかった、相続人になるはずの人に先立たれたなどなど、色々な事情があります。また、借金相続に効果的な相続放棄も、相続人がいなくなる理由の一つです。相続人が借金相続を回避するために相続放棄が続いた結果、最終的に相続人が誰もいなくなってしまったというケースです。

実は相続人が存在しない、ひいては空き家問題に関係しているのです。

相続人がいないと遺産は国庫に帰属する。遺産であった不動産も国のものになるのに何で?と思いますよね。これには、「相続人のいない不動産は誰が管理するの?」という疑問が関係しているのです。

■相続放棄をしても空き家はもと相続人に管理義務が

最初から相続人が存在しなかった場合はこの限りではありません。しかし、相続人がいたのに相続放棄をした結果として相続人がいなくなった場合は、例えその不動産が国庫に帰属したとしても、不動産の管理は相続放棄をしたもと相続人がしなければいけません。

民法の940条には、相続放棄をした相続人は、きちんと相続放棄したはずの不動産を次の管理人が管理できるようになるまでもと相続放棄をしたもと相続人が管理しなければいけないと定められています。つまり、相続放棄をして国に帰属する不動産の管理責任は相続放棄をした相続人にありますので、「相続放棄をしたからもう知らない!」ではなく、管理する義務を負うのです。これは相続放棄の意外なデメリットといえるでしょう。相続放棄が完了すれば「さようなら」というわけではなく、次の管理人がきちんと管理できるようになるまで義務を負うのです。

この相続放棄をしてもと相続人が不動産を管理しなければいけないという義務が、新たな空き家問題の原因の一つになります。

■相続放棄後に放置される不動産が空き家化して地域の問題に

相続放棄をしても次の管理人が管理できるようになるまでもと相続人が管理しなければいけないとしても、もはや相続放棄は住んでいるわけですから、決して不動産は自分のものではありません。多額のお金を支出して不動産のメンテナンスをするでしょうか。また、こまめに雑草取りや虫の駆除をするでしょうか。多くの人は自分の持ち家で手一杯で、相続放棄後の不動産のメンテナンスなどこまめにできないことでしょう。金銭的な問題だってありますね。

また、相続放棄後に遺産を国庫に帰属させるための手続きは強制ではありません。相続放棄だけして終わったことにして、あとは野となれ山となれとばかりに不動産が放置されることも珍しくないのです。もと相続人は相続放棄で終わったと思っていますから、こちらのケースでもやはり不動産のこまめにメンテナンスなどしません。そうすると、以前の記事でお話ししたように、害獣や害虫の被害、倒壊の危険、防犯の面での危険に繋がり、地域住民の迷惑、ひいては日本全体の空き家問題に繋がってしまうというわけです。

■近隣住民からの苦情!取り壊し費用は誰が払うの?

最終的に相続放棄後の空き家に対して近隣の住民の「迷惑だ」「倒壊しそうだ」「不審人物が出入りしている」「蜂が巣を作って酷い」といった苦情が出ると、最終的に空き家の取り壊しをすることになります。

相続人がいて不動産を相続していれば、行政が介入して取り壊しをして相続人に取り壊し費用を支払わせることになります。両祖父母の家をそれぞれ一軒ずつ、そして両親の家を一軒、自分の家を一軒、相続でどんどん家が増えてしまって最終的に四軒もの家持ちになってしまったという事例を考えれば、管理をしなければならないという義務があったとしても一人の相続人では手が回らず、費用も税金も支払切れず、まさに不動産が負の動産となって破滅してしまう可能性だってあります。そう考えると気の毒ではありますが、空き家化によって近隣住民も現実に迷惑し被害が出ているのであれば、最終的に取り壊しをするしか決着方法はありません。

しかし、相続人が相続放棄をしていたら、取り壊し費用は一体誰が捻出するのでしょう。もと相続人が管理の延長上の話として取り壊しをしなければならなのでしょうか。

最終的に国庫に帰属した空き家は、税金で取り壊されます。地域住民、そして国民の懐から出たお金が税金です。

相続放棄により空き家が増えて国庫に帰属する不動産が増えると、その分だけ税収が圧迫されます。これはなかなか難しい問題です。そう思いませんか?子供に良かれと思って遺した不動産を、子供が相続放棄で国庫に帰属させる。最終的に空き家でよくある問題が表面化し、税金で取り壊しがなされる。子供のためどころか地域住民の懐にも痛い話です。

■最後に

不動産はなかなか処分できない。

空き家問題が日本では深刻化している。

相続は空き家問題と深い関係がある。

これらのことをよく考えた上で相続対策をしたいですね。とても大切なことではないでしょうか。

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