親が認知症に!不動産売却の方法は?

認知症のお婆さん

一戸建てが処分できない!こんなトラブル知ってる?

日本では、本人の財産は本人が自由に処分することができます。

例えばおばあちゃんがこつこつ貯めた預金。預金はおばあちゃんの財産ですから、お正月に遊びにきた可愛い孫にお年玉として渡すことも、慈善団体に寄付することも、おばあちゃんが預金を解約して生活費にすることも自由です。
おばあちゃんの財産ですから、おばあちゃんが自由に使っていいのです。道を歩いていて美味しそうなリンゴが店先にあるのを見つけ、突発的に預金を下ろして購入することだって自由です。
これは東京のどこに住んでいても変わらない日本の大原則です。

不動産も同じで、自由に処分することができます。
持ち主が不要であれば換金のために売却してしまうことだってできますし、息子夫婦にあげてしまうことだってできます。もう古いし誰も住まないだろうと思えば、解体してしまうことだって持ち主の考え方一つで自由にできてしまうのです。店先で買った美味しそうなリンゴを保存する場所として使うことだって自由ですね。
これも、東京のどこに住み、どれだけの不動産を持っていても変わらない大原則です。

このように、預金や不動産といった財産は、持ち主が好きなように処分していいことになっているのです。しかし、時に、この自由なはずの財産処分に制約が生まれてしまうことがあるのです。それって何なのかご存知ですか?
換金したい時に不動産を換金できない。孫や息子にあげたいのにできない。それはどんな時だと想像しますか?

都市部だから売れるわけではない!世田谷や銀座の一等地も?

自分の不動産や預金は自由に使って構わない。換金してもいいし、極論を言えば、下ろした預金をゴミ箱に捨ててしまっても構いません。「その人の財産ですから、その人がしたいようにしてください」という立場を日本の法律はとっています。

しかし、法律はいくつかの理由があると、「基本は自由だけど駄目」という制約をつけます。

その制約の代表的なものは、農地や田畑の取引です。
東京の都心部は確かに開発が進んでいますが、都心から離れればまだ田んぼや畑といった土地がありますよね。田んぼや畑は日本の食生活の基本ですから、面積に応じて「売却したいのですがいいですか」「売却後はビルを建てたいのですがいいですか」というように許可をもらう必要があるのです。
自分の財産の処分なのに制限が課されてしまうということです。これは緑地や農地を大切にしようという国や自治体の政策や事情からの制約です。

しかし、制約が生まれるのは、何も自治体や国の事情からだけではありません。個人的な事情から制約が課されることがあるのです。

もう一つ代表的な例があります。それは、とても身近な問題である認知症です。認知症と診断されると、本来は自由にできたはずの財産処分に制約が生まれてしまうのです。この制約があると、世田谷や銀座の一等地でも簡単に処分できなくなってしまいます。

トラブル対策が新たなトラブルを呼ぶ?家庭の大問題

認知症と診断されると、自由に自分の財産を処分できなくなってしまいます。なぜかというと、日本の法律は、表面的な返答ではなく、その返答にきちんと「本当の気持ちがある」「契約を理解して判断している」ことが必要だという立場をとっているからです。

契約内容をはっきり理解して判断することが、認知症と診断されると難しくなります。また、悪い人に騙されてしまう可能性もあります。10億円の銀座の一等地を悪い人に騙されて「100万円でどう?」「じゃあ売ります」と契約を結んでしまうかもしれないですね。あるいは、契約書に勝手に判子を押されてしまうかもしれません。

認知症と診断された場合、本人の財産を守るために処分に制約をかけます。認知症の本人がきちんと契約内容を理解して判断することが難しいからこそ、不動産などの処分ができなくなってしまうのです。

そうか、本人を守るためか!財産を守るためなら仕方ないと思いますか。確かに悪い人に騙されて不当な契約を結んでしまうことは避けなければいけませんが、財産を守るために別の弊害が出てしまっていることが問題です。

財産処分ができない!子どもが取るべき対策は?

弊害。それは、認知症と診断された人の不動産処分ができないということです。家族が代わりにしてあげればいいのでは?と思うかもしれませんが、それは駄目です。

考えてみてください。

おじいちゃんの名義の土地を息子が勝手に売却してくることは問題です。財産の中の特に不動産の処分は、その不動産の名義人の専売特許のようなものです。他の人にお願いする時はきちんと代理人として委任状を渡したり、売買の間に入ってくれる不動産屋に対し「うちの息子に代わってもらうから、よろしく頼むよ」と一報入れたりするのが筋です。

不動産の売買は高額が動きますから、不動産屋側も名義人以外からの売却の申し出があれば「あなたは代理をお願いされた方ですか?委任状はありますか?」と慎重になります。
それに、もし売却できたとしても、新たな持ち主になる買主に名義を変えるには、名義人本人である売主の協力が必須です。基本的には名義人本人が「売りますよ」という意思をもって受け答えし契約を結ばなければいけません。例え家族であっても勝手に他家族名義の不動産を売却することは不正な行為です。してはいけないのです。

認知症と診断された人の財産を守ろう!と法律や制度が頑張った結果、認知症と診断された人の不動産は、

  • 家族であっても売却できずお金が必要でも換金できない!
  • 不要でもずっと固定資産税を払い続けて持ち続けなければいけない!
  • 本人が認知症で維持管理できず家族の負担になっているのに処分できない!

という弊害が生まれてしまいました。

この弊害を何とか克服する方法はないのでしょうか?

もちろん、方法はきちんとあるのです。

後見人の申し立てとは?認知症の親の土地建物の売却法

その方法とは、後見の申し立てをすることです。後見とは、後見人のことです。いくつか種類がありますが、認知症の場合は主に成年後見制度を使うことになります。後見人とは自分が後見をする人(被後見人)の財産を代わって管理する人のことです。

  • 親族
  • 司法書士
  • 税理士
  • 弁護士
  • 社会福祉士

などが後見人になることができます。

申立てをする家族が「Aさんを後見人にお願いします」と希望を出すことはできますが、必ずしもAさんが選ばれるとは限りません。誰を後見人にするかは裁判所が決めます。

不動産処分だけでなくリフォームのためにも必要!後見制度

認知症と診断された人の不動産を売却したいという場合は、まずは裁判所にこの成年後見の申立てをし、後見人を定めてもらうことになります。後見人が決まると「本人のために」財産を管理することになります。本人に損失を与えることはできませんが、本人の介護費用捻出などの理由で「あくまで本人のために」本人名義の不動産を売却することができるようになります。

認知症と診断された本人は不動産の処分ができないけれど、後見人は本人のためにできるようになるということです。後見人は財産状況や売買についてきちんと裁判所に報告し、裁定を仰がなければいけません。裁判所はあくまで「本人のためになるか?」を基準に後見人をきちんと監視します。

不動産の売却処分の他に、認知症になった高齢のおじいちゃんやおばあちゃんのために、おじいちゃんやおばあちゃん名義の自宅に担保を設定して介護に優しい住宅へのリフォーム資金を借り入れるといったことも、後見人をつけることではじめて可能になります。

まずは後見人を決めてしまわなければ、認知症と診断された人の名義の不動産は家族であっても何もできないということです。しかし、後見人を決めてしまえば、認知症と診断された家族の不動産も問題なく処分することが可能です。

住まいの今後を考えるならさらなるサポートを

ただし、後見の申立てをしても、すぐに後見人が決まるわけではありません。裁判所の手続きは確認作業などを含めかなり時間がかかります。きちんと後見人が決まって不動産の処分に着手できるようになるまで数カ月程度はかかることを覚悟する必要があります。

また、後見人にさらに監視をつけることも可能です。この監視を後見監督人といいます。

後見人の財産処分には裁判所の監視が働きますが、それだけでは不安!最近ニュースで色々見て心配!という人は後見人にさらに後見監督人をつける方法も検討するのがいいですね。

この後見監督人はただ後見人を監視するというだけでなく、家族が後見人になった場合に良きサポートをしてくれる存在でもあります。家族では裁判所に提出する報告書などの記載がよくわからない等の場合は、法律家や介護に知見のある法人を後見監督人にすることで、スムーズに手続きが進みます。

最後に

本人の財産は本人が自由に処分できることが大原則。しかし本人が認知症などで契約に不可欠な意思が心配だという判断が下ると、特に高額が動く不動産の処分ができなくなってしまいます。

財産は本人が自由に処分できるということは、原則的に処分は本人ということでもあります。本人が処分できなければ、家族が代わって勝手にすることもできません。介護費用を捻出するために不動産の換金は有効な方法なので、「できない」ではなく後見制度の活用をして何時でも「できる」状態にしておくことが大切です。

なお、本人が元気であり、特に認知症とも診断されていなければ、自分の好きな人を後見人に指定する契約を結ぶこともできます。これを任意後見制度といいます。「いざという時は娘にお願いしたい」「息子に自分の後見をしてもらいたい」という人は、任意後見制度を早め早めに検討してみるのはいかがでしょうか。

不動産処分については不動産屋、後見制度については弁護士や司法書士が専門家になります。気になることや疑問があれば、まずは相談からはじめましょう。

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